原発推進ICRPの指針のみに依拠した愚策 行政に頼るな

 原子力安全委員会の一部委員は「子どもは成人の半分以下とすべきだ」と指摘していたが、文部科学省は「国際放射線防護委員会(ICRP)は、大人も子どもも原発事故後には1〜20ミリシーベルトの被ばくを認めている」と説明。計画的避難区域の指定基準と同じ年20ミリシーベルトを下回れば問題ないと判断した。計画的避難区域と緊急時避難準備区域に指定される地域の学校は使用しない。その他の学校のうち、通常通り屋外活動を行うと年20ミリシーベルト以上となる恐れがあるのは福島、郡山、伊達3市の13校・園(児童・生徒・園児計3560人)。文部科学省厚生労働省福島県教育委員会などに対し、これらの学校については校庭での活動を1日約1時間とし、活動後には手や顔を洗うことや、砂ぼこりが多いときは窓を閉めることなどを求める通知を出した。

 文科省によると、現時点の放射線量が変わらず、毎日8時間は屋外に、残り16時間は木造家屋内にいたと仮定すると、校庭での放射線量が1時間当たり3.8マイクロシーベルトの場合、1年後の積算線量が20ミリシーベルトとなる。この試算から同3.8マイクロシーベルト未満の学校では、通常通りの活動を認めることにした。時事通信 4月20日 一部抜粋

ICRPが示した許容被曝量は、危険と利益を天秤にかけて算出されている。
ICRPは、先月27日に2007年に勧告した緊急事態発生時の一時的な緩和基準が適用できると判断し、今回の福島第一原発周辺では、放射性物質の汚染地域に一般住民が居住する場合、20〜100ミリ・シーベルトの範囲ならば健康影響の心配がないとした。しかし、基準の緩和は一時的で、将来的には、1ミリ・シーベルトに戻すとしていた。

一方でECRR(欧州放射線リスク委員会)は、ICRPの基準は、低線量被曝と内部被曝を低く見積もり過ぎているとECRR2003報告書で出している。
http://www.min-iren.gr.jp/syuppan/genki/148/genki148_5.html

都合の良い情報に依拠した政府発表は、信じるべきではない。

福島原発からのヨウ素131の大量放出が発生してからすでに16日以上経過していることから、福島県内の学校で検出されている放射線核種は、セシウム137などが中心ではないのか。だとすれば、今後数十年間は高い放射線を出し続けていく事になる。また、この値は全て外部被曝の値であり、より危険な内部被曝の危険性を全く考慮していない。

福島県は、県内から若年層が流出すれば、今後の復興が危うくなるという視点で、今回の決定を受け入れるのであれば、数十年後の子供たちに降りかかる巨大なリスクを背負うという事もしっかり認識しなければならない。

子供を危険から守ることが出来るのは、その家族だけである。周りを気にして、意に反して住み続ける必要があるのか。子供を持つ世帯は、子供が成人するまで福島県から離れたほうが良い。放射線に怯えつつ、外での遊びも出来ない子供たちはどんなに辛いか。親の気持ちを酌んでしまう子供であれば、余計に辛いはずである。政府発表を鵜呑みにせず、自ら情報収集を行って、子供たちを守るという判断をして欲しい。