校庭活動に放射線基準…文科省、福島県に提示へ

文部科学省は、校庭など、幼稚園や学校の屋外で子供が活動する際の放射線量の基準を近く福島県に示す方針を固めた。

 同県内では、一部の学校で比較的高い濃度の放射線量や放射性物質が検出されており、体育など屋外活動の実施可否について早期に基準を示す必要があると判断した。

 同省などによると、基準は、児童生徒の年間被曝(ひばく)許容量を20ミリ・シーベルト(2万マイクロ・シーベルト)として、一般的な校庭の使用時間などを勘案して算定する方針。原子力安全委員会の助言を得た上で、大気中の線量基準などを同県に示す。基準を超えた場合、校庭を使用禁止にし、授業を屋内だけに限るなどの措置をとる案も出ている。4月10日3時19分配信 YOMIURI ONLINE

国際放射線防護委員会(ICRP)が3月21日に出した、原発事故などが起きた後に周辺に住む人の年間被曝限度量は、2007年の勧告に基づき、1〜20ミリシーベルトの範囲が妥当とする声明をもとに、政府は放射能汚染地域にそのまま居住することが出来るようにする上限上げの方針を出している。今まで日本が基準としていた20倍の値である。今度は、その値をそのまま小中学校の校庭の汚染状況に当てはめようとするのか。
IAEA飯舘村に避難勧告を出すべきだと、政府に助言した時は、その値がおかしいとして一蹴したにもかかわらず、政府・東電に都合の良い声明はすぐに採用して暫定値上限を上げるのであれば、その根拠を国民に説明しなければならない。
原子力安全委員会は、少なくとも平成14年の報告書で、子供への放射線影響を認めている。内部被爆の可能性が高まれば、それだけ子供にリスクを負わせる事になる。
福島県の子供たちで、放射線影響の疫学調査を本気で行うつもりなのか。

よりリスクの高い地域に住まわせるために基準値を上げるのではなく、過疎化の進む、多摩ニュータウンなどの大規模団地やURの空き部屋などを東電が一括借り上げをし、そこに集団移転をしてもらい、原発事故が収束し地域の安全が確認されるまでの間、無償提供を続けるなど、様々なアイデアがあるはずである。

復興の名のもとに、放射線の影響を過小評価する政府官僚は、責任回避と組織防衛を始めたように見える。