今日の憂い

マスコミがこぞって、自動車メーカーの春闘結果を放送している。賞与の満額回答。その一方でTPPへの参加を表明するために、自民党内では一応反対しましたよというパフォーマンスをやり、政府と与党が臭い芝居をうった。TPPの参加交渉のテーブルに着くために、後発国は文句を言わない、議論を蒸し返さないなどの条件が付けられている事が明らかになったが、今の日本政府は、先発国で決定した事項を何一つ知らないまま、交渉参加するとしている。本気でアメリカの州になろうというのか?

私は一応農家なので、TPP参加には反対だ。でも、農協団体や農水省のような既得権益がらみの反対ではない。アメリカの本当の狙いは、おそらく日本の種苗関連の息の根を断つことだ。

アメリカでは、遺伝子組み換え(遺伝子ぶち込み)作物が一般的になりつつある。日本でもおなじみになり始めたモンサントをはじめとする巨大化学薬品メーカーが、最も効率的に利益を出すには世界の種苗を握る事だ。

TPPにはISDS条項なるものがある。これは、企業が自社の利益を妨害するような法律や政策などがあった場合、それらを蹴散らし賠償を勝ち取るための秘密道具。国際機関に訴えるとあるが、その機関とは世界銀行の下部組織だ。アメリカの支配下にある世界銀行の下部組織、そりゃ訴えられれば相手に勝てる要因は微塵もない。必ず負ける。

日本の農家の利益?バカじゃないの。
そんなもんじゃすまないよ。TPPに参加すれば、間違いなくモンサント社は日本の種苗関連を狙ってくる。ボケッとした日本人じゃ、気が付けばモンサント社の種苗以外使えなくなっている可能性もある。
全部が遺伝子組み換え作物になるって、どんなに恐ろしい状況なのか。

有機栽培農家の多くが、自家採種をしているがそれができなくなれば、伝統野菜はすべて消え、モンサント社が開発した遺伝子ぶち込みの種苗(しかも1代交配なので、毎年種を買う羽目になる)のみになる。当然、作物の多様性が失われるので、病害虫への抵抗力もなくモンサント社製の農薬という名の毒もセットで買う羽目になる。まるでSF映画のようだが、すでに世界各地で起こり始めている事実だ。

そして、遺伝子組み換え作物は、人体への健康影響以外にも生態系への遺伝子汚染というとんでもない側面がある。1度遺伝子汚染が始まれば、もう止めることができない。地球の中で何億年もかけて適応してきた動植物の遺伝子を、モンサント社のサル知恵レベルで拡大するのはあまりにもリスクが大きすぎる。

今日の憂いはもう一つ。

全然メディアで放送されないのが福島県の除染問題。一昨年夏に南相馬に行った時、私はこのブログ内で除染は無理だと書いた。そして今、福島県内の除染が難航し除染目標である年間1ミリシーベルト以下にする事は事実上無理だと、国が言い出した。

現実的範囲で適切な数値として年間20ミリシーベルトに力を入れると、復興庁の星野岳穂参事官が口にした。

やっぱりね。

現場を自分の目で見れば、年間1ミリシーベルト以下にする除染なんて無理だと素人の私にも分かる。
年間20ミリシーベルトでも安全だと、基準を緩和する方向に動き出した安倍政権。

20ミリシーベルトで安全宣言が出されれば、自主避難者を含め放射性物質から我が子わが身を守ろうとする人と、福島県内に残っている人々の溝を更に広げることになる。

国は原子力政策を推し進めるためにも、福島県民を帰還させたい。
東電は賠償額を少しでも減らすために、福島県民を帰還させたい。

この基準緩和に透けて見える、国と東電の醜い考え。

過去の公害事件となんら変わらぬ、・・・、いやより巧妙に立ち回る
国と原因企業があり、無関心を決めこむ国民がいる。

TPPにしろ、原発問題にしろ、全て春闘満額回答の陰に薄れてしまった。

お金も大事だけど、もっともっと大事な事がいっぱいある。


今日の空間線量測定値

3月14日 午後1時 栃木市

エステー社製 AC-S 0.07μSv/h

Medcom社製 CRM100 0.120μSv/h

*薄曇り 北風微風 高さ20cm