ベラルーシから学ぶ私たちの未来

今日は、先月紹介した宇都宮大学でのシンポジウムで貴重な話を聞くことができた。


宇都宮大学生国際連携シンポジウム2012

ベラルーシから学ぶ私たちの未来:チェルノブイリ原発事故と福島原発事故を振り返る」

辰巳雅子氏
基調講演「ベラルーシの経験を踏まえて日本で応用する力を〜国や民族の     違いを超えて〜」

辰巳氏の基調講演では、チェルノブイリ原発事故後に旧ソ連政府が取った行動と今回の日本政府の動きを比較すると同時に、現在のベラルーシの状況を詳しく説明して頂いた。

講演の中で、私が特に気になっている部分の話があった。

一つは、ベラルーシの子ども達の話。

福島県の県民健康調査で、福島県の子ども達の多くに甲状腺異常が見られるにも関わらず、問題ないとしている国と福島県だか、辰巳氏によれば1990年にベラルーシ甲状腺がんセンターが完成し検査が始まったが、当時のベラルーシには、子どもの甲状腺異常を調べる技術力がなかったとの事だ。

事故当時、それなりの医療技術があり、すぐに調査を開始していれば実は1年目から子ども達の甲状腺に異常が見つかっていた可能性もあった。

もう一つ気になったのが、内部被曝に関して。

今現在、高濃度汚染地帯付近の住人より、汚染地帯ではない地域の人の方が内部被曝をしている可能性があるという事。
これは、汚染地帯付近に住む人は、注意深く食品を検査しながら食べているため食物からの内部被曝を避けることができているが、非汚染地帯の人は気にせずに食べてしまうため、かえって内部被曝してしまう事例があるとの事。そのような地域では、心筋梗塞などの病気の低年齢化が顕在化し始めているものの、被曝との因果関係が証明できずにいる。

ストロンチウムに関しては骨に蓄積することが知られているが、ベラルーシでは事故後、背骨の曲がった子や足の骨の長さが違う子供が多くなったと報告していた。(それに関する専門病院があるとの事だった)

今後放射能とどのように付き合っていくのか。

よくジャムなどのゲル化剤として使用されるペクチンには、放射性物質を体外に排出する機能があり、ベラルーシではサプリメントとして商品化されている。ただし、体内のビタミンも一緒に排出させてしまうため使用には注意が必要だ。


最近、風評被害払拭の雰囲気が立ち込め、市場に出回っているものであれば何でも大丈夫だと思っている人が異常に増えてきた。
先週の東京新聞に、汚染された食べ物の出荷制限の範囲が拡大しつつあることが紹介されたが、これから先もずっと放射性物質と付き合いが続くのだから、風評被害で片づけるのではなく、しっかり検査をし可能な限り内部被曝避けることが重要だろう。

最後に辰巳氏が話したのは、ベラルーシ市民からの言葉として「免疫力を高めなさい」という事だった。


このシンポジウムを企画した宇都宮大学の学生の企画力と実行力は素晴らしいと思う。このような学生が宇都宮大学にいたとは・・。
栃木県の誇りだ。

県知事に彼らの爪の垢を煎じてやりたい。


空間線量測定値

12月7日 午前10時 栃木市

エステー社製 AC-S 0.09μSv/h

Medcom社製 CRM100 0.172μSv/h

*晴れ 弱い南西風 高さ20cm