冷温停止。 事故収束。 被曝避難基準「年20mSv」は妥当な値。

東京電力福島第1原発事故で、政府は16日、原子力災害対策本部(本部長・野田佳彦首相)の会議を首相官邸で開いた。原子炉の冷却が安定して放射性物質の放出が大幅に抑えられた「冷温停止状態」が実現し、事故収束に向けた工程表「ステップ2」が完了したとする政府・東電統合対策室の判断を了承。野田首相は「冷温停止状態に達し、事故収束に至ったと判断した」と宣言した。
 同原発では3基の原子炉が炉心溶融メルトダウン)を起こし、溶けた核燃料の状況が確認できない上、放射性物質の外部への放出も完全に止まっていない。避難した周辺住民の帰還のめども立っておらず、反発を呼びそうだ。
 宣言を受け、政府は同原発から半径20キロ圏内の警戒区域と、年間放射線量が20ミリシーベルトを超える計画的避難区域を、新たに3区域に再編する検討に入った。近い将来の帰宅が可能な「解除準備区域」(年間線量20ミリシーベルト未満)、数年間居住が難しい「居住制限区域」(同20ミリシーベルト以上〜50ミリシーベルト未満)、数十年間帰宅できない可能性がある「帰還困難区域」(同50ミリシーベルト以上)とする方向で調整している。 時事通信 12月16日

今日の夕方、野田総理大臣が東電福島第一原発冷温停止と事故収束を発表した。
そして昨夜は、低線量被ばくの影響を有識者で検討する政府のワーキンググループ(WG、共同主査・長滝重信長崎大名誉教授、前川和彦東京大名誉教授)が、国際的な基準を参考に、避難の基準となっている年20mSvについて「タバコや科学物質など他の発がんリスク要因と比べて十分に低い水準だ」として、科学的に妥当な値だと結論付けた。

以下、WGがまとめたもの。

WGがまとめた低線量被ばくの影響
・100ミリシーベルト以上は線量の上昇に応じて発がんリスクも増加することが分かっているが、100ミリシーベルト未満は影響が科学的に証明されていない

・低線量を長期間被ばくした場合、同じ線量を短期間で集中的に被ばくした場合より健康影響は小さい

・内部被ばくと外部被ばくの人体への影響は同じ

・低線量の内部被ばくによるぼうこうがんの増加は被ばくとの因果関係があると評価できない

ちょっと、待ってくれ・・・。

冷温停止状態に事故は収束。20mSv/年まで安全だから、避難者は福島に帰ってくれということなのか?

溶けた核燃料がどこにあるかも分からず、未だに数億ベクレルの放射性物質を毎日飛ばしている原発を「冷温停止状態で、収束した」なんて、よくあんな真面目な顔して説明できたと思う。

普段、社会保障の事などまったく説明しない野田首相が、何だか誇らしげに記者会見をしているのを見て、既得権益を守ろうとする官僚の操り人形なんだなと、改めて思った。

廃炉まで40年以上かかると思われる原発周辺地域に、人が戻るなんてありえないし、戻ってはいけない。

また、政府は放射線量20mSv/年が本当に妥当な値だと考えているのか?有識者とされるWGの人選は何なんだ?

内部被曝外部被曝も影響は同じだと?

25年経ったチェルノブイリで分かりはじめた膀胱がんの増加に関する研究は、福島では関係ないと?

ここ数日の発表を見ていると、冷温停止状態になり、事故は収束。20mSv/年まで安全だから、避難者は福島に帰るように。と包囲網を作っているように感じる。

霞ヶ関の机に座って、原発事故は大したことなかったんですよ。と表面を繕って、原発再稼動を目論む連中に、避難者の気持ちと苦しみは全く届かないようだ。

今の状況で、安全宣言とも取れる発表は、国際社会から嘲笑されても仕方がないだろう。

この国はどこまで愚かなのか・・・。

今日の測定値

12月16日 午前9時40分測定 栃木市

SE社製 M4 0.155μSv/h(3分間平均値)
Medcom社製 CRM100 0.163μSv/h

*晴れ・南東の風・微風・高さ1m