里山野生鳥獣と放射能汚染問題

前回の水俣ホットハウスの皆さんのミニシンポは、埼玉大学教育学部安藤研究室が中心になって開いてくださったが、今日は鳥獣管理技術協会主催で「里山と野生鳥獣の放射能汚染について考える」ということで、福島県鳥獣保護センター参与の溝口俊夫氏の話を聞きに、宇都宮大学に出かけた。

最近、除染という言葉を聞かない日が無いが、里山の状況はどうなっているか?それを知るには、落ち葉を調べるのもいいが、そこに住む野生鳥獣達がどの程度被曝しているを調べれば、里山の状況を知る手がかりとなる。

今年10月までに捕獲されたイノシシでの最高値は南相馬市で捕獲された個体で、4120Bq/kgが検出された。私の住む栃木市では、最高値109Bq/kgのイノシシが捕獲された。ニホンジカでは、栃木県北部の塩谷町で1069Bq/kgの個体が確認されている。福島県内のデータは無い。栃木市では218Bq/kgの個体が確認されている。

宇都宮大学里山科学センター特任准教授、高橋俊守氏が「チェルノブイリ事故後のドイツに学ぶ」という事で報告した内容は、今後の北関東での起こりえる事象として非常に示唆的であった。

ドイツ南部における放射性セシウムの現状としては、25年が経過した今では農産物や畜産物の食品中からは事故前のレベルまで減少している。しかし一方で、一部の森林で採取されたベリー類やキノコ・獣肉では未だに高い汚染が見つかっている。

報告では、ドイツ南部はチェルノブイリ原発事故によりセシウム137の沈着量が多くその沈着量は、現在の栃木県北部や群馬県北部、茨城県北部(文部科学省から出された沈着量地図の濃い青の部分)と同程度であった事が分かっており、25年が経過したドイツ南部の状況は、諸条件は異なるがこれからの北関東の姿の参考になると報告され、それに対しての提言も同時になされた。

別件で、以下の論文を紹介します。ツバメの変異が報告されているのでご一読を。

樋口 広芳(東京大学大学院農学生命科学研究科)

放射能汚染が鳥類の繁殖、生存、分布に及ぼす影響
チェルノブイリ原発事故25年後の鳥の世界−

http://www.scj.go.jp/ja/event/houkoku/pdf/110628-houkoku4.pdf

今日の環境放射線量 11月7日午後2時 栃木市

SE社製 M4 0.180μSV/h(3分間平均値)
Medcom社製 CRM100 宇都宮へ出張中。

*晴れ・北西微風