南相馬市に行ってきた

 先週末、南相馬市NPO・市民団体の活動のお手伝いで、南相馬市に行ってきた。市内十数か所の放射線量を測定し、地図上に落とす作業だが炎天下では結構きつい作業。でも、原発事故以来地道に測定を続けている地元の方々の熱意は本当に素晴らしいものだった。


 南相馬市に入るためには常磐道の広野ICから6号線を通って、東電原発の目の前を通過してくるのが最短ルートだが、許可証を取得して途中で防護服にフルフェイスの防塵マスクを装着せねばならず、また女性もいたことから、私達は三春町から北上し伊達市手前で115号線に右折、飯舘村の近くを通過し相馬市から、南下して南相馬市に入った。途中、伊達市飯舘村の間辺りで、走行中の車内から線量計測を試みたが、反応が高く途中で怖くなって止めてしまった。

 原町区内では、公表されている0.5〜0.6μSv/h前後の空間線量(高さ1m)の場所が多かったが、住宅街にも関わらず、1μSv/hを超える空間線量が検出される地区もあった。地表面では2〜4μSv/hあり、子どもや妊産婦が生活するにはかなり厳しく、出来ればすぐに避難をした方がよいレベルだと思う。場所に関係なく、高い線量が出ることが多かったのが、枯葉だった。公園の落ち葉の直近を測定すと、大方2μSv/hを超える。測定をしている時、小さな子供が手を振ってくれていたが、マスクもせずにいた。行政はこの地域の放射線量が高いことを把握している。

 近々、政府が避難準備区域を解除するという話が出ているが、その解除によって自主避難者を含め避難していた方々が帰郷する可能性が高い。メディアでも、東大のアイソトープ研と政府が除染活動を始めたと紹介されているが、町全体を除染することは不可能で、スポット的な除染がどの程度あるか、それによって大気中の放射線量にどの程度の変化が生じるのかなど、追跡調査が不可欠だと感じた。

 空間線量が最も低かったのは6号線より海側の地域で、原町火力発電所周辺や海釣り公園では、0.15μSv/hを下回る程度でしかない。ただ、津波によって全て持っていかれており、未だ手付かずの場所も多くその被害の甚大さを目の当たりにした。海から1キロ以上離れても、漁船が道路や田んぼに横たわっている。
お盆と重なったこともあり、土台だけ残った家屋跡や小学校などに花束が手向けてあり、そのたびに手を合わせてきた。特に小学校では、自分の娘と重なる部分もあって、とても辛かった。

 栃木県でも日光や那須など山地の線量が高いが、この南相馬も同じで、山側の小学校の値は海側に比べ比較的高い値が検出された。にもかかわらず、安全だという理由からか、わざわざ線量の高い学校に他地区から登校して来ている子ども達もいる。