東電 20年間放置 人災だ

福島第1原発事故をめぐり産経新聞のインタビューに応じた国際原子力機関IAEA)元事務次長でスイスの原子力工学専門家、ブルーノ・ペロード氏との一問一答は次の通り。

 −−福島第1原子力発電所事故で日本政府がIAEAに事故に関する調査報告書を提出したが

 「私は事故後の対応について日本政府や東電を批判するつもりはないが、両者が事故前に対策を取らなかったことは深刻だ。特に、東電の不作為はほとんど犯罪的だ」

 −−なぜ、そう思うのか

 「福島第1原発の米ゼネラル・エレクトリック(GE)製沸騰水型原子炉マーク1型は圧力容器と格納容器が近接しており、水素ガスが発生すれば圧力が急激に高まる危険性が1970年代から指摘されていた。福島で原発の建屋はクリスマスプレゼントの箱のように簡単に壊れたが、スイスでは90年代に格納容器も建屋も二重するなど水素ガス爆発防止策を強化した」

 −−東電はどうしたのか

 「当時、スイスで原発コンサルティング会社を経営していた私はこの作業にかかわっており、マーク1型を使用する日本にも役立つと考えた。1992年ごろ、東電を訪れ、(1)格納容器と建屋の強化(2)電源と水源の多様化(3)水素再結合器の設置(4)排気口へのフィルター設置−を提案した」

−−対策費は

 「非常用の送電線は2千〜3千ドル。排気口のフィルターは放射性物質を水で吸着する仕組みで電源を必要とせず、放射性物質の拡散を100分の1に減らせる。今回の震災でも放射性物質の拡散を心配せずに建屋内の水素ガスを排出できたはずだ。費用は300万〜500万ドルで済む」

 −−東電の対応は

 「東電は巨大で、すべてを知っていると思い込んでいた。神様のように尊大に振舞った。東電が原子力安全規制当局に提出していた資料には不正が加えられていた。これは東電が招いた事故だ」6月12日 産経新聞 一部抜粋

先日、東電がIAEAに提出した報告書に対して怒りの返答なか定かではないが、IAEA元事務次長ブルーノ・ペロード氏は、東電による人災だと言い切った。
20年前から、その危険性を指摘され、4つの対策をするように警告されていたにもかかわらず、全てを無視してきた当時からの東電幹部は、万死に値する。