想定外ではなかった津波

今更だが、やはり津波は想定外ではなかった。記録に残る貞観地震から始まり、幾度となく津波に襲われてきた三陸地方。想定外はあまりにもお粗末だろう。ジーゼルエンジン発電機を地下に設置した時点で、原発全体を見通しての安全管理が出来ていなかったことは事実である。

原発の安全研究に取り組む独立行政法人原子力安全基盤機構(JNES)」が平成19年以降、津波被害を想定した研究報告をまとめていたにもかかわらず、所管する経済産業省東京電力が具対策を講じていなかったことが30日、分かった。東電福島第1原発の事故は、ほぼ研究報告通りの展開をたどっており、国や東電が「想定外」と主張する津波の波高についても想定。15メートル超の津波を受けた場合の炉心損傷確率を「ほぼ100%」としていた。

 「わが国の原発は、いずれも海岸線に設置されており、地震発生に伴い津波が到来した際には、原発に対して何らかの影響を及ぼし、炉心損傷が発生する可能性が考えられる」

 JNESが20年8月にまとめた報告書には、津波被害の項目の冒頭にこう記され、福島第1原発で起きた津波被害を起因とする炉心損傷の可能性を明確に指摘していた。

 東電によると、福島第1原発は、津波の影響で、タービン建屋の地下にある非常用ディーゼル発電機が水没して故障。同発電機用の軽油タンクも流されるなどして冷却系の電源や機能がすべて失われた結果、炉心溶融や水素爆発が起き、放射能漏れにつながった。産経ニュース 5月31日 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110531/dst11053100350005-n1.htm

また、関西電力管内で原発銀座である若狭湾敦賀原発をはじめ多くの原発があるが、約400年前に書かれた「兼見卿記」やポルトガル宣教師ルイス・フロイス著「日本史」に書かれている天正地震(1586年)の記述に、大津波の様子も記されている。関西電力は、この記述を知っていたにもかかわらず、社内で信憑性はないとして、地元住民や自治体に知らせていなかったことが、先日NHKの取材で明らかになった。

自らの技術を過信し、他者の助言や提言を無視し、歴史に残る自然の脅威を科学と技術によって凌駕できると思い込んでいた原子力開発の専門家達。いわゆる「専門バカ」だ。
特に、最近マスメディアによく登場するようになった、日本原子力開発の父といわれる、日本原子力技術協会最高顧問・石川迪夫氏の発言はあまりにも酷い。
先日もTVタックルという番組で熱弁していたが、自らの言動が矛盾だらけであることに気が付いていないのだろうか。

歴史的な地域検証をはじめ、低線量被曝の危険性を明らかにしている学説の検証、地震津波・竜巻などの自然災害に対する検証など、どれもまともに向き合わず、原子力開発に関する科学と技術のみを信用した結果が、この事態を招いている。「専門バカクライシス」とでもいえようか・・・。

また、巨額な開発費を狙って、傘下法人を次々に作り天下り先を確保してきた経済産業省や研究費をしこたまもらうために、危険性をないがしろにした研究を進めてきた御用学者、東電からの広告費をもらうためにウジウジした記事しか書かない大手メディア。

政治家は、相変わらず醜い政権争い。

震災復興会議は、地元被災者そっちのけで何を決まるのか?

全く先が見えない・・・。