今日から計画的避難開始

今回原発事故で、全域が計画的避難区域となった福島県飯舘村と、一部が避難対象になる川俣町で、今日から住民の避難が始まる。
妊産婦や乳幼児のいる世帯が優先して、施設へ移動できるという。

 夫婦で地元農協に勤務する飯舘村の川井美香さん(37)は、3月14日に原発が2度目の爆発を起こしたのをきっかけに、村内に勤務する夫の智洋さん(38)や子供3人ら計8人で、いったん郡山市の親類宅に避難。4家族の20人以上が身を寄せ合う生活は神経がすり減り、美香さんらは1週間ほどで村に戻って夫婦で職場復帰した。

 村はほとんどが30キロ圏外だが、警戒区域の20キロ圏内並みの高い放射線量が続いた。9月に4人目の出産を控える。妊婦や乳幼児が影響を受けやすいと知り、「産むのを諦めようか」と思ったこともあるが、「赤ちゃん、大丈夫?」とおなかをさすってくれる子供たちに励まされている。

 年間の積算放射線量が20ミリ・シーベルトを超える可能性があるとして、政府が村を計画的避難区域にする方針を示したのは4月11日になってから。「勝手に逃げても誰も助けてくれないでしょう。国や村はもっと早く『逃げろ』と指示し、避難の手配をしてほしかった」 

村からは福島市内の2LDKのアパートを割り当てられたが、この広さでは夫の両親、祖母と別居せざるを得ない。14日に新居を下見した美香さんは「何でこんな目に遭うのか。早く当たり前の日常を返して」と目を赤く腫らして訴えた。5月14日 YOMIURI ONLINE 一部抜粋

一部強調文字にした部分は、多くの原発被災者、中でも妊産婦や乳幼児を持つ親の本音だろう。生活のための仕事があるために、逃げたくても逃げる事が出来ない。また一方で、地域内の見えない足かせがあるために精神的に逃げる事が出来ないなど、自主避難を躊躇させる要因もあった。

国が公に「危ない」と発表していれば、避難する踏ん切りがついた保護者も多い。これは、福島県内に限らず、関東地方など隣接地域の保護者にも共通する。

私も2児の親として、水素爆発発生直後に子供たちを関西方面に避難させた。人間の五感で感じることが出来ない放射線から子供を守るためには、予防原則の立場に立ち、安全が確保されるまで避難させるべきだと私は思う。

もっとも安定していると言われていた1号機のメルトダウンが明らかになり、1号機タービン建屋の汚染水は2000mSv/hという超高濃度である事が分かった。(メルトダウンに関しては、GE(第一原発の原子炉メーカー)の技術者が冷却停止から5時間程度で起こるという事を指摘していた)
福島第一原発所所長で、現場の指揮官である吉田昌朗氏は、「次に大きな津波地震が来たら、ここはもたない」とインタビューに答えている。
未だ原発は綱渡り状態で、危機は去っていないと考えるのが妥当だろう。
放射性物質の拡散が予想される地域の子供を持つ保護者は、次に大規模な放射性物質の拡散があった場合、国の発表に頼らず、自らの判断で速やかに子供を避難させるための準備と根回しをしておいても良いと思う。