今日の憂い

 福島第一原子力発電所の事故の賠償策を巡り、政府・民主党が3日、東京電力が負担する賠償金に充てるため、電気料金の値上げを容認する新たな仕組みを設ける方向で調整に入った。

 数兆円と想定される賠償金を支払う枠組みは、東電のリストラと毎年の利益から捻出するのが原則だが、それだけでは資金が足りないためだ。今回の枠組みで資金拠出を求められる他の電力会社についても、一定の電気料金の値上げを認める方向だ。YOMIURI ONLINE 5月4日

先日、損害賠償補填の一部として、東電は社長はじめ幹部の給与を50%カット、一般社員は10%カットを公表したが、海江田大臣から苦言が出るほど甘い内容で、驚かされた。50%カットされても年収2000万円では誰も納得しないだろう。そして、政府は損害賠償補填のために大幅な電気料金値上げを容認した。

東電の「地震は来ない。安全対策は万全」というおごりが招いた最悪の原発事故の尻拭いの大役を、やはり国民に押し付けるのか。明治・昭和の三陸津波は、内陸部で38mの高さに達した記録もあり、各分野の専門家が警鐘を鳴らしていたにもかかわらず、対策の検討すらしてこなかった東電の尻拭いは、正直御免だ。内燃機関を専門としていた私から言わせてもらえば、補助電源用のジーゼルエンジンの発電機が、防水対策も施される事無く平地に設置されていたのを見て、「これで防災対策は万全です」などとよく言えたものだと思った。

こんなデタラメな安全対策と、原発は環境問題に寄与しますという、それこそデマを公言してきた東電に対して国民はより厳しい姿勢を見せなければ、政府・官僚と東電の蜜月関係は更に強まりそうだ。


今日5月4日付けの産経新聞社説「主張」は、20ミリシーベルトを容認できない人間から見れば、納得できない。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110504/dst11050402510004-n1.htm

「校庭利用基準 ぶれず安心できる説明を」

「安心できる説明を」というのは、正常化の偏見を助長する事になり、被災者自らが思考停止に追い込むことになると思わないのか。

あまり知られていないが、原発従事者、特に下請け従業員は、通常業務において低線量被曝をし、白血病などで命を落としている人がいる。年間7〜10ミリシーベルト程度でも確率的に起こりえる。
http://www.geocities.jp/koshc2000/accident/hibakuninnteihyo.html

福島県の子供たちで事実上の疫学調査を行おうとする政府は、国民からも世界の国々からも信用を失うことになるだろう。