原子力安全委員会は信用するに値するか?

福島第一原発事故について政府が設定した校庭利用基準を検討する際、原子力安全委員会(班目(まだらめ)春樹委員長)が正式な委員会を開かず、2時間弱で「差し支えない」とする助言をまとめ、国の原子力災害対策本部に回答していたことが分かった。

 安全委事務局の加藤重治・内閣府審議官が30日の記者会見で明らかにした。

 加藤審議官によると、4月19日午後2時に同本部から助言要請があり、事務局が、班目委員長を含む5人の委員から、対面と電話で意見を聞き、助言をまとめた。委員会が開かれなかったため、議事録もないという。加藤審議官は「19日以前から、文部科学省とは協議しており、委員の間でも話し合い、かなりの合意ができていた。この日の意見聴取だけでまとめたわけではない」と説明している。 YOMIURI ONLINE 4月30日

http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1012
4月26日に紹介した、市民団体と中央省庁の役人との集会映像。

この集会の中で、原子力安全委員会事務局担当が「議事録があるのか承知していない」「会議が開かれたかも承知していない」としていたのは、やはり会議など開かずに、斑目委員長が決定していた事によるものだった。
斑目委員長といえば、原子力建屋が水素爆発した時に、「私には助言できる事はない」と言い放った事は記憶に新しい。

私はてっきり斑目委員長はお飾りだと思っていたが、今回彼が決定した校庭基準20ミリシーベルト問題では、お飾り以上の存在感を見せつけている。
政府もこの決定を正しいとして支持し、変更することはないとした。

http://www.pref.fukushima.jp/j/schoolmonitamatome.pdf
福島県は校庭の放射線量を公表しているが、政府・東電や安全委員会はその値を見てもなお「福島の子供は大丈夫だ」と言い張るが、その根拠を示すべきである。ICRPの基準をそのまま当てはめているだけなら、原子力安全委員会は解散すべきだし、辞任した元内閣参与小佐古氏の主張を受け入れなかった理由も示さなければ、国民は納得できない。

原子力安全委員会のHPから普段どんな会議が行われていたかが良く分かる。
http://www.nsc.go.jp/anzen/shidai/index.htm
地震発生当日3月11日の臨時会議に至っては「緊急助言組織を立ち上げた」だけで
5分で終了している。
普段から、10分〜30分程度の出来レース的な会議しか行ってこなかったこの組織に全幅の信頼を置く政府では、福島の子供を守るということは考え付かないのだろう。

国会議員のHPを何人か見てみたが、与野党問わず「募金活動に参加しました」「○日にテレビ出演」「選挙活動報告」など、原発問題絵空事な国会議員がほとんどで、この国の行く末は本当に真っ暗だなと思った。国会議員は、立法府の人間であり法律を作る権利を国民から付託されている事を思い出して欲しい。あなた方の仕事は、募金でも選挙でもテレビ出演でもない、法律を整備し税金という予算を配分する事だ。予算委員会でも、あげ足の取り合いばかりで、被災者・国民そっちのけ、このバカタレども・・・。時限立法で構わないのだから、福島県内の子供たちを安全な場所に集団疎開させる法律を作るべきだ。

「絆」「頑張ろう日本」など復興イメージばかりがマスメディアから流れているが、収束の見込みすら見えず、未だに放射性物質が大量に飛散し続けている原発と真正面から向き合おうとしないのは、正常化の偏見そのものである。
福島県の復興は、原発の収束無しにはありえない。30キロ圏ギリギリに仮設住宅を建設するなど異常なことがまかり通り始めているが、マスメディアはどこも取り上げない。季節が変われば、風向きは変わる。その時に、まだ放射性物質垂れ流し状態なら、汚染地区は大きく変わることになる。