昨日から今日にかけて

東大にもまともな研究者がいた。宇都宮大には変な学長がいた。

内閣官房参与の小佐古敏荘(こさこ・としそう)・東京大教授(放射線安全学)は29日、菅直人首相あての辞表を首相官邸に出した。小佐古氏は国会内で記者会見し、東京電力福島第1原発事故の政府対応を「場当たり的」と批判。特に小中学校の屋外活動を制限する限界放射線量を年間20ミリシーベルトを基準に決めたことに「容認すれば私の学者生命は終わり。自分の子どもをそういう目に遭わせたくない」と異論を唱えた。同氏は東日本大震災発生後の3月16日に任命された。

 小佐古氏は、学校の放射線基準を年間1ミリシーベルトとするよう主張したのに採用されなかったことを明かし、「年間20ミリシーベルト近い被ばくをする人は原子力発電所放射線業務従事者でも極めて少ない。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたい」と主張した。毎日新聞 4月29日 一部抜粋

小佐古氏がいた内閣官房参与ですら、年間20ミリシーベルトを止める事が出来なかったとは、この組織内はどんな魑魅魍魎がうごめいているのか寒気がしてきた。
元凶は誰なのか?それとも、一個人ではなく官僚の無責任さが生み出す怪物か・・・。

「安全・大丈夫」を繰り返してきた東大・東工大御用学者がマスメディアから突然居なくなった。今も原発から150兆ベクレルを超えるような放射生物質が毎日放出されているのだから、国民に「安心」をもたらすために、今一度マスメディアに登場して、安全キャンペーンを張ったらどうか。それとも、官僚の暴走を目の当たりにして怖くなったのか。


そういえば、一昨日の金曜日午後3時のNHKニュースで、栃木県の国立大学法人宇都宮大学の学食が紹介されていたと友人から聞いた。

学長自らエプロンをして、出荷解除になったばかりの栃木県産ホウレン草を使った「おひたし」や「胡麻和え」を無料で配っていたという。その中のインタビューで、学長は「地域が困っている時は、助けるのが当たり前」という趣旨の発言をしていたという。

なんと素晴らしい学長なのか

さすが地域に根差した地方国立大学だ。

しかし、私には疑問が残る。

出荷解除になった県内産ホウレン草の放射線測定値は最大でセシウム137が50ベクレル/kg・ヨウ素131が29.4ベクレル/kgで、検出されている。
http://www.pref.tochigi.lg.jp/kinkyu/houshasen.html

年代としては身体が一番活発に活動している時期の大学生に、あえて放射線が検出されているホウレン草を食べさせるのは何故か?

農産物における基準は、暫定値でありその根拠が非常に曖昧で、公に示されていない。20ミリシーベルト問題と同じように、これもICRPの基準を何の専門性も持たない官僚が勝手に拝借しただけの値ではないのか。

知の集合体である大学で行われるにしては、あまりに浅はかな行為ではないのか?

私がもっとも問いたいのは、
なぜ東京電力が負うべき補償を学生に食べさせるのか?である。

放射性物質が検出されている以上、それは風評被害ではなく実害である。

その損害は、東京電力が支払い処分されるべきホウレン草であり、それを「支援・復興」の名のもとに学生に食べさせるのは愚の骨頂ではないのか。

東電と蜜月関係にある文部科学省なら、規制値をいくらでも変更できる。「直線・しきい値なし」説を認め始めた一方で、暫定基準内であれば食べても問題ないという文部科学省の見解はすでに矛盾している。(しきい値以下は確率の問題だから、後は自己責任でということなのか)

宇都宮大学の学長は、どのような考えでホウレン草を配り歩いたのだろか。