田中正造の意志を継ぐ政治家はいないのか

自民党の谷垣総裁が、東日本大震災の復興に向けて政府が月内に新設する「復興本部」(仮称)への参加を国民新党の亀井代表に持ちかけられ、拒否していたことが15日、明らかになった。読売新聞 4月15日

自民党の谷垣総裁が政府の「復興本部」入りを拒否した。原発を作り続ける巧妙な仕組みを作ったのは、自民党と官僚ではなかったか。事故当初は原発担当大臣も拒否した谷垣総裁。原発の危険性を認識しながら、中曽根元首相以降、強引に推進してきた歴代首相と天下り先確保で甘い汁を吸ってきた官僚の尻拭いは御免だと思っているのか。他の自民党幹部も政府批判のみで、この原発推進の仕組みを作り上げてきた自己責任を問う政治家が誰もいない。

一方で、日本の近代的官僚システム(縦割り行政)は、この事態に対して硬直化を起こし、その脆弱性を露呈している。何か1つの行動を起すにも、官僚からあーでもないこーでもないと横槍が入るため、前に進まない。それは、その事で生じた事象の責任を負わないための官僚の習性なのであろう。すでに様々な団体や個人が有機的に繋がり始め、草の根活動を起している民間とは対照的である。

官首相の掲げる「震災に強い国」にするには、明治以降強固に作り上げられた、鉄筋コンクリートの建物のような近代的官僚システムではなく、京都の東寺にある五重塔のような、それぞれの特性を生かした柔軟なつながりを持つ組織にするため、現在の官僚システムの解体も同時に行わなくてはならない。

菅直人首相は15日、首相官邸で福島第1原発の事故による風評被害の改善を訴えるJA福島代表団と会談し、得意技である「食のパフォーマンス」の健在ぶりを見せつけた。産経ニュース 4月15日

官首相は、こんなパフォーマンスで、風評被害がなくなると信じているのか。この風評被害は、適当な暫定基準を作り上げて「安全」を強調しすぎ、消費者が疑心暗鬼に陥っているために発生している。放射性物質が少しでも検出された食品は一切市場に出さない、と政府が保証し、そのデータを開示すれば消費者は必ず購入する。被害にあった農産物や海産物、畜産物は、全て東電と政府が補償するべきで、その莫大な補償金は危険性を隠し続けて原発を推進してきた罪の重さに比例する。